山下毅雄氏が他界された。不謹慎ながら、既に亡くなられているものだと思っていただけに、二度驚いてしまった。数年前流された死亡説は、関係者の誤報だったとか。まったくもって失礼な話である。98年にリリースされた、氏の音楽生活50周年記念アルバムのライナーにおいて、監修者の大友氏が山下氏の次男、透氏との出会いが企画盤の誕生のきっかけとなった云々と記述されていた事から、私もすっかり逝去されたものだと勘違いしてしまっていた。
ヤマタケ・・・渡辺岳夫氏が、ファンから愛情を込めてナベタケと呼ばれたように、氏もまたそう呼ばれた。ヤマタケ氏のメロディーは、子供の耳で聴いても色気を感じたというか、とてもアダルトなムードが溢れていた。低年齢層向けの痛快冒険アクション物であっても、氏の作曲スタイルは変わらなかったように思う。
私にとって、ヤマタケサウンドと言えば、やはり「プレイガール」、特にエンディングテーマには絶大なインパクトを受けた。今でもあの曲を聴くと、気分は小学生時分にトリップする。映像に劣ることのない、お色気ムンムンな曲の数々に、劇伴の持つ力を感じたものだ。「プレイガール」のCDは、廃盤ながら今でも比較的入手し易いはず。艶っぽいスキャットを聴いて、是非貴方にも氏を偲んで頂きたい。
そして、やはり忘れられないのが特撮作品の楽曲である。「悪魔くん」はもちろん、「ジャイアントロボ」でもヤマタケ氏のアダルト&エロティックメロディーは健在だった。さすがに大人向けとは違ったアプローチも感じられるが、それでもBF団側を描くテーマとしてジャズっぽい曲が作られている。「ジャイアントロボ」と言えば、やはり最終話に流れる、口笛をフィーチャーした主題歌カラオケに尽きる。ロボが自らの意志で動き出し、ギロチン帝王に戦いを挑む名シーンに流れた曲。あの口笛はヤマタケ氏ご本人によるものだとか。正にお別れに相応しい名曲である。そのメロディーを聴きながら、ヤマタケ氏のご冥福を祈りたいと思っている。