これまでで、何となく「GKは初心者には不向き」だと感じられたでしょうか?確かに、メーカーもGKは上級者を推奨していますし、私もそちら寄りに書きました。では本質的な「上級者」とは、どのような人を指すのでしょうか?初心者はGKに手を着けてはいけません!等と指示されているキットは、おそらく存在しないと思います。実は、問題は「上級者」の方ではなく、この「初心者の程度」に大きく関わってくるのだと、私は考えているのです。『GKは難しいと言うけれど、プラモデルを組むのと大差ない』、或いは『GKより、パーツの多いプラモデルの方が大変だ』という意見を聞かされたことがあります。だから『GKが上級者向けだという固定観念を与えることは、GK全般に対するマイナス要因に繋がるのではないか?』と言われる方もおられました。どれも正解とも思えますが、私にすればどれもが不正解だと思います。それはプラモデル、GKを問わず、あくまで特化したジャンルのキットしかご存じない方々の言葉ですから(一般的に「GKよりプラモデルの方が簡単である」と認識されている理由は、「パーツを貼り合わせるだけでカタチになる」、「説明書が懇切丁寧で進め易い」「素組なら完成までの道のりが早い」等が挙げられますが、「子供の頃から慣れ親しんできた」という時代背景や生活環境も係わっているのかも知れません)。GK視点で言うと、要するに『GKとプラモは大差ない』という人は、箱がパンクしそうなぐらいパーツが詰まっていて、しかもそのパーツの大半が変形していたり、自作部分が多いプラモデルに出会ったことがないから。インジェクションだからと言っても、多量の離型剤が付着していることもありますし、パーツが左右非対称となっているケースもあるのです。逆に『GKの方がプラモより楽』という人は、指の関節ひとつひとつまでパーツ化されたGKを組んだことがないからでしょう。総パーツ数50点以上のキットと格闘してみれば、きっと考えが変わるはずです。PCを挿入する箇所を自分で開孔する等の作業は、心底骨が折れます。ですから、基本的に「どっちが簡単でどっちが難しい」「どちらが初心者向けでどちらが上級者向け」という明確な判定は出来ないのです。
なら、「プラモを組んだ経験がない者は、いきなりGKに手を出してはいけない」のか? もちろん答えはNOです。「上級者向けです」という記述は、「模型工作未経験者から寄せられるクレームを想定した対応策」である反面、これから工作を始めようとする「ビギナーの意欲をスポイルするものではない」のですから。プラモデルとGK、どちらから始めても、その技術は応用が利くのです。さりとて、それぞれに素材特有の性質がありますから、最低限の知識は学ばねばなりません。始めるからには、工具を一から揃える必要も出てくるわけですし。詳細は模型雑誌のハウトゥコーナーに譲りますが、例えば接着剤が共用出来なかったり、塗装時のカラーが限定されたり、使用頻度の高い専用ツールが全く違ったりと、プラモデルとGKは似て非なる部分が多いことは確かなのです。先に「初心者の程度」と書きましたが、何度かプラモデルを組んだ経験のある人なら、「非なる部分のみ」をGK用に修正すれば良いだけのこと。工作の取っ掛かりを実践済みの人には、順応は難しくありません。この人たちは既に初心者ではなく、単に「GK未経験者」なのです。逆も然り。多からず存在するのでしょうが、模型はGKのみでインジェクションには興味ナシという人は、「プラモ未経験者」なだけですね。私は、「上級者」の定義を文字や言葉では表現出来ないと思っています。ですから、「経験を積んだ者」=「上級者」と理解して、間違いはないと思うのです。だって、上級者というのは、他人から認定してもらう称号ではないのですからね。あとは、工作技術とは直接関係のないメンタルな部分、根気とか努力とか情熱があれば、プラモでもGKでも完成させられてしまうのです。つまり「カッターも握ったことがない人」や「パテって何?という人」には、GK製作はハードルが高いと言うことになるので、少しずつ経験値を上げていって頂きたいと思います。